京都市中京区　なかい耳鼻咽喉科院長、中井　茂です。

みなさん、甲状腺という臓器をご存知ですか？

「甲状腺？・・・聞いたことはあるけれどどこにあるどんな臓器かは知らないな・・・」

そんな方が多いのではないでしょうか？

のど仏の少し下に位置する甲状腺は甲状腺ホルモンを分泌する重要な臓器です。

このホルモンは身体の活動を活発にする働きを持ち、ヒトが健康に暮らしていくためにとても重要な役割を担っています。

このホルモンの分泌が不足する状態を「甲状腺機能低下症」と呼び、身体のだるさやむくみ、のどのはれが現れることがあります。

われわれ耳鼻咽喉科医が診察の際にくびに触れるのはこのためです。

これは橋本病が原因となることが多く、女性は特に注意が必要です。

甲状腺機能低下症は血液検査で比較的容易に診断できますし、甲状腺ホルモン薬を飲むことで身体のホルモン値は安定させることができます。

この橋本病はご存知の方も多いと思いますが、「潜在性甲状腺機能低下症」はほとんどの方が聞き慣れない症状ではないでしょうか。

「潜在性甲状腺機能低下症」とは血液中の甲状腺ホルモン値は正常範囲内にあるにもかかわらず、甲状腺ホルモンの分泌を促す甲状腺刺激ホルモンの値が高値を示す状態です。

実際には甲状腺がホルモンを分泌する機能は低下しているのですが、甲状腺刺激ホルモンを多く分泌することで甲状腺の分泌機能を亢進させ、見かけ上、甲状腺ホルモン値を正常に保っている状態です。

これは軽度の異常のため治療の必要性は高くないのですが、甲状腺刺激ホルモンの値が非常に高い場合、妊娠を希望する女性や甲状腺の肥大が明らかな場合には薬による甲状腺ホルモンの補充を考えます。

甲状腺ホルモンは妊娠の継続、胎児の発育に重要な役割を持ち不妊にもつながる恐れがあります。

身体の不調やむくみ、のどのはれ、不妊や流産の経験をお持ちの方は、一度甲状腺の検査を受けてみて下さい。

当院では血液検査と高性能なエコーを用いて正確な診断ができるよう、心がけております。